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今日は最高に格好悪い話をしようか

なんでこんなところにいるのかなあ、
とぼんやり考えながらわたしは今朝、
JR某駅のホームに立っていました。

ホームは混雑していて
(そりゃそうです、朝のJRは殺人的に混むんですから)
わたしは、乗れるだろうか、と
不安な気持ちを抱えていましたが、
ふとやってきた電車の窓を見ると

「女性専用車両」
の文字が目に入りました。

ああぁ助かった、
この路線は女性専用車両があるのだな、
と短くため息をついて
わたしはその電車に乗り込みました。

朝の最も混む時間帯なので
女性専用車両も混雑していましたが、
女性とならからだを密着させても
こわくありません。

最初に女性専用車両を
考案/実施してくださった人は
誰なんでしょうね。

わたしはそのかたに
100万回くらい深い感謝の気持ちを述べたい。

電車は少しすると
目的の駅へ到着しました。
人とぶつからないように
何かのゲームのように
人混みを抜けて
到着したオフィス。

「緊張しないで、わからないことは何でも聞いてくださいね」
わたしのデスクへやってきた研修担当の女性が、にっこり笑って言いました。

わたしと、高層ビルと、オフィス。まったくしっくりこない。
久しぶり過ぎてどうしていいかわからないけれど、とにかくやるしかないので、書類とPCの画面を交互に睨みつつ、なんとか研修を始めました。

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バーンアウトとはなにか

体調に異変があったのは10月頃です。
朝、出勤しようと布団から出ようとしても出られない。起き上がろうとすると涙が勝手に流れてくる。あとからあとから。やっと起き上がって仕事に向かっても、めまいがひどく、ほとんどまともな仕事にならず、早退。

最初、なぜこんなに体調が悪いのかわかりませんでした。病院にも行きましたが、原因は不明でした。ただ、めまいは症状からして耳からくる病気ではない、ということくらいしかわからず、困惑しました。

仕事の合間に、事務所のベッドをお借りして休み、なんとか次の仕事に向かったりしていましたが、そのうちに、朝、全く起き上がれなくなりました。もちろん早朝のランニングもできなくなりました。いつもなら目覚ましをかけなくても自然に朝、目が覚めて仕事前にランニングできていたのですが。

苦しかったです。
仕事に行かねば、という思いはあったのですが、からだが動かない。


医療従事者、介護職などに多く見られる状態のひとつとして、「バーンアウト(燃え尽き症候群」 があげられます。

バーンアウトシンドローム【burnout syndrome】 燃えつき症候群。つらい仕事に起因するストレスのために心身のエネルギーが尽き果ててしまった状態。心的疲労感・空虚感・自己嫌悪・作業能力の低下などが主症状。米国の精神分析医H=フロイデンバーガーによる造語。(goo辞書より引用)

今年は仕事、プライベートで亡くなったかたが複数いました。
過去の記事で「介護の仕事は利用者さまと境界線をしっかり引くことが大切である」と書いたのですが、結局のところ、わたしはそれがうまくできなかったということでしょう。

どうしてもわたしは、利用者さまに良いニュースがあれば一緒になって自分の事のように喜ぶし、悪いニュースがあれば同様に、深く悲しんでしまうのです。そして、帰宅してもその気持ちをうまく切り替えられない。わたしは介護の仕事が好きですが、このような姿勢は、プロとしてふさわしくありません。


それから一か月ほど仕事に行けない日が続き、何度も葛藤しましたが、やむをえず今まで働いていた事業所を退職することにしました。あれだけ欠勤が続いたのに所長優しいんですね。休職扱いにして、回復したらいつでもおいでとおっしゃってくださいましたが、何度か話し合って退職することにしました。

介護の仕事/そこで知り合う人たちが、本当に好きだったんです。

認知症で曜日感覚は曖昧なのに、仕事のことはよく覚えていて、難解な数式を教えてくれたり、仕事道具を見せてくれたひと。敬虔なクリスチャンで、神様のことを教えてくれたひと。散歩帰りに拾ったどんぐりを、わたしにくれたひと。

常に無表情だったひとが、何度も訪問して、あれこれ話しかけるうちに、にこっと笑いかけてくれたこと。人見知りの利用者さまが、「あなた以外の人とはうまく話せないの、いつも来てくれてありがとうね」と伏し目がちに言ったこと。

皆さんのことが大好きなのです。
そして彼ら彼女らとは必ず最後、死をもってお別れが来るのです。
知っています、研修でも学びましたし、そこを乗り越えないと仕事を続けていけないことも。しかしわたしはその事実を今受け入れられないし、耐えられない。

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「最初はなにがなんだかわかりませんよね、わたしも始めはそうだったから、一緒に少しずつ覚えていきましょうね」

ふたたび、研修担当の女性がわたしに言いました。

「わたし、進月さんの息子さんとひとつ違いの子どもがいるんですよ。今度、よかったら教えてください、子育てのこと」
そう言って、女性はにっこり微笑みました。
はい、そうですね、とわたしは答えました。

新しいプロジェクト立ち上げにともない、地方都市から都内へ転勤してきたという彼女。彼女もきっと慣れない土地で慣れない仕事を始めて大変だろうに、まわりに気を配っていて、そのうえなんだろう、オシャレ。これがいわゆる都会のオフィスガールというやつでしょうか。

オシャレなオフィスガールになれる気は全くしませんが、せめてそこそこまわりに気を配り、お役に立てる仕事ができるように頑張ってみましょう。

やりたかった仕事に挫折したわたしは今最高に格好悪いけれど、格好悪い姿をさらしても、わたしは生きていかねばならないのです。大切な人たちと一緒に生きていくために、そして先にいった大切な人たちの分も生きるために。




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コメント18件

すいません、今気がついたけどオフィスガールの略はOLじゃなかった…泣きそうです。
おじぞうさん、ありがとうございます。おじぞうさんもお仕事多忙でしょうが、体に気をつけて頑張ってくださいね。
玉兎さん、なんか、もうちょっとうまく立ち回れるようになりたいなと思います。でもわたしはわたしですから、自分なりにがんばっていきます。
あぎさん、なんかトラブルの最中にいるとうまく言葉に変換できなくなるんです。訓練が必要ですね。素敵ですか、褒めていただいてうれしいです。
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